泌尿器科情報局 N Pro

症例036-2

解説

12年前から6年おきに3回目の尿閉となり入院となった患者さんです。2回目と3回目は抗コリン作用のある薬剤を内服後に尿閉となっています。2回目の尿閉の際には前立腺肥大症の診断がなされていましたが、手術については検討されていませんでした。ジスチグミンが処方されている所から推察すると、当時は前立腺肥大症よりは神経因性膀胱の要因の方が強いと判断されたのでしょう。

今回、3回目の尿閉で入院し、前立腺は63mlと下部尿路閉塞を強く疑うサイズになっています。診断を確定する目的でUDSが行われました。

UDS

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1. 記録状況
EMGはうまく拾えていないようです。膀胱内圧、腹圧はうまく計測されており、サブトラクションも良好に得られています。

2. 蓄尿期
Capacity 170ml
Compliance 良好
DO DO出現後にFD、ND、MDと立て続けに訴えています。terminal DOの状態です。
尿意 DO出現後に尿意を訴えています。

3. 排尿期
Qmax 排尿できませんでした。
PVR 排尿できませんでした。
Pdet 80cmH2Oまで上昇しています。
腹圧 腹圧はかけていません。

ノモグラム
排尿はできていませんのでQmax 0ml/sでプロットします。

排尿筋収縮力 W+
下部尿路閉塞 V

UDSサマリー DO+ DU± BOO+

この結果を元にPVPが予定されました。

経過
腰椎麻酔下にPVP施行。出血が多くTURisPを併用した。術後血尿のコントロールのため持続膀胱洗浄を行った。
3POD 尿道カテーテル抜去。自排尿できず導尿。
4POD 自排尿できず導尿行うが、導尿困難あり尿道カテーテル再留置。
13POD 尿道カテーテル抜去。自排尿100ml残尿300ml
14POD 自排尿できず導尿400ml

さて、どのように考え、どう対処してゆきましょう。