★ ヴィヴァルディの音楽

   ( それぞれの曲名をクリックしてください。)

   協奏曲集「四季」
   弦楽のための協奏曲 イ長調
   弦楽のための協奏曲 ト長調「アラ・ルスティカ」
   弦楽のための協嚢曲 ニ短調
   フルート協奏曲ヘ長調 Op.10の1「海の嵐」
   フルート協奏曲ニ長調 Op.10の2「ごしきひわ」

   バスーン協奏曲ホ短調
   4つのヴァイオリンの為の協奏曲ニ長調 作品3の1
   ヴァイオリン協奏曲イ短調 作品3−6
   合奏協奏曲へ長調 作品3−7
   4つのヴァイオリンのための協奏曲ロ短調 作品3の10
   マンドリン協奏曲ハ長調 RV.425


 
 ヴィヴァルディ/四季 (協奏曲集「和声と創意への試み」作品8より)

 アントニオ・ヴィヴァルディ (1678〜1741) の代表的な名曲というだけでなく、いまやクラシック音楽を代表する名曲として、愛され親しまれているこの不朽の名曲は、1725年頃出版された12曲のヴァィオリン協奏曲からなる曲集「和声と創意への試み」作品8の、最初の4曲です。 ちょっとヴィヴァルディを聞きかじったり奏いたことのある人ならば、「四季なんてミーハーの連中の聴く曲さ !  同じヴィヴァルディでも、作品3の「調和の幻想」の方が、ずーっといい曲だよ」などという人も多いのですが、なぜ「四季」がこれほどまで多くの人々に親しまれているか、という原因を考えると、毎年毎年必ず来てくれる、イ・ムジチの皆さんの功績も大きいけれど、なんといってもこの曲集が、一種の標題音楽であり、“小鳥の鳴き声”とか、“歯の根も合わない”といったような猫写の面白さが、誰が聴いても親しみ易いことがあげられるでしょう。 しかし、この「四季」が名曲たるゆえんは、このような猫写の数々を、リトルネロ形式というヴィヴァルディ自身が確立した、一定の形式の中に見事なまでに位置づけている、というところにあるのではないでしょうか。
 この「四季」には各曲、各楽章に有名な「ソネット」がついており、どんな繁雑な解説よりも、曲の鑑賞のうえで助けとなると思われますので、ここに記させていただきます。

≪春≫
春がやってきた、楽しい歌によって鳥たちは春の訪れを祝い、西風の軽やかな息吹きに泉がやさしいささやきで答える。
空を黒い雲がおおい、稲妻と雷鳴が春を告げるためにやって来る。 しかし雷鳴は静まり、もういちど鳥たちが、そのたえなる歌声をびびかせはじめる。
いまや花の咲き乱れた牧場では、木の葉と牧草がやさしく音をたて山羊の番人は眠り、忠実な犬が傍にたたずむ。
牧人の笛のにぎやかな響きにあわせて、輝かしい春の空の下で、ニンフや羊飼いたちが踊っている。

≪夏≫
太陽が照りつけるこのきぴしい季節では、人も動物もなえて、松の木さえ枯れそうだ。
カッコウがさえずるとすぐに、キジバト、ゴシキヒワも歌いだす。
ここち良い西風が吹くが、突然、北風がそれを追いやってしまう。
小さな羊飼いが泣いている。 彼は怯えたのだ、むごい突風と不幸を予感して。
疲れはてた仲間は休息を奪われた。 稲妻ととどろく雷鳴の恐ろしさによって、そして蚊やハエが気が狂ったように飛びまわるために。
ああ ! 彼が怯えるのも無理はない。 稲妻と雷鳴があい前後し、あられと雷が地面を叩きつけ、麦や大きな木まで倒してしまうのだから。

≪秋≫
踊りと歌で農民たちは、豊作の喜びを祝う。バッカスの酒をあおり、この良い気候を眠りこくってすごす。
皆が踊りも歌もやめた後には、空気のさわやかさも気持ち良く、この季節はひとりひとりを、やすらかな夢路へといざなう。
夜が明ける頃、猟師は家をとびだし、角笛を吹き、鉄砲を肩からさげ、猟犬を伴ってゆく。獣は逃げようとするが、猟師たちは追いつめる。
はや騷ぎのため恐怖におそわれ、疲れはて、鉄砲と猟犬により傷つけられ、獣は逃げようとするが、四方からとり囲まれ、息たえる。

≪冬≫
凍てつくような雪の寒さにぶるえ、冷酷なきびしい風が吹きぬけ、足をばたばたさせて走り、いや増す寒さに歯をがちがちいわせる。
炉辺では幸福につつまれた日を過すが、外では雨がすべてのものを濡らしている。
氷の上をゆっくりと歩く、ころばぬように、慎重に前へすすむ。
早くゆけぱ、すべり、尻もちをついてしまう。もう一度氷の上をすすみ、素早く走るが、氷は割れ、裂け目ができる。
閉めておいた扉があいてしまう音がする。南の風、北の風、そしてすべてのたけり狂った風が戦いをはじめる。これが冬、けれどもこれは冬の楽しみではないか。

                          (第8回定期演奏会プログラムより)



 ヴィヴァルディ:弦楽のための協奏曲イ長調
 
 あの華やかな「四季」や「調和の幻想」などのバイオりン協奏曲の分野に比べて、この曲には独奏部分がありません。 イタリア語で「コンチェルト・リピエーノ」という言葉の意味は「いっぱいにあふれた」つまり、オーケストラ全員で終始演奏する協奏曲ということであり、この曲もソロ楽器のない単調さを、多様な作曲技法といかにもヴィヴァルディらしい軽やかなこぼれんばかりの明るさとで、十分に補いつくしています。 一説には、ヴィヴァルディはピエタの女生徒たちのオーケストラを指導していた時、優れた奏者には「コンチェルト」を、他のあまりうまくない奏者たちには「コンチェルト・リピエーノ」を作曲したともいわれていますが、これはパストラーレの人達にはナイショです。
 
                          (第2回定期演奏会プログラムより)


 
 A.ヴィヴァルディ/弦楽の為の協奏曲ト長調 「アラ・ルステイカ」


 ヴイヴアルデイ(1678〜1741)が通奏低音をともなう弦楽合奏のために書いた曲は、現在70曲あまりが残されています。 その呼ぴ名は、協奏曲・シンフオニア・ソナタといろいろですが、何れの場合も「はやい 〜 ゆつくり 〜 はやい」の3楽章からなり、有名な「四季」のようなソロ楽器の出番がなく、いわば合奏としての妙味を十二分に味わえるように作られています。 この曲の題名「アラ・ルスティカ」は、日本語では「田園風」と訳され、パストラーレ(これも「田園」という意味 ! )の演奏会の冒頭を飾るにまことにふさわしい、まるで一陣の風が吹きぬけてゆくような、さわやかな曲です。 この曲はつい10年ほど前までは、題名どおり田舎くさくゆっくりと演奏されることが多かったのですが、それでも4分程で終わつてしまう短い曲です。 それを、新人類のパストラーレのメンバーは、なんと“3分以内にやってしまおう”と言っているようです。 さて、どんな“一陣の風”になることでしようか?
 余談ですが、この曲は今でもCBCラジオの中でCMのバックに使われています。(興味のある方は、午前11時3分頃ラジオのスイッチをひねってみてくたざい。)

 1. アレブロ・ルステイーコ 〜 2. ラルゴ 〜 3. アレグロ・ヴィヴァーチェ

                       (第7回定期演奏会プログラムより)



 ヴィヴァルディ/弦楽の為の協嚢曲ニ短調 R. 127


 ヴィヴァルディ(1678〜1741)は、独奏部のない通奏低昔を伴う弦楽合奏のために、数多くの作品を書きましたが、現在70曲余りが残されています。 この協奏曲ニ短調は、全曲でもわずか4分足らずで終わってしまう小品ですが、第1楽章の哀愁を帯ぴた、まるで駆け抜けるような曲想は、一度耳にしたら忘れ難い魅力があります。
(余談その1)実は筆者は、この曲の第1楽章をフランク・プウルセル・グランドオーケストラの演奏でFMで初めて聴き、たいそう好きになったのですが、その時のDJは不親切にも、曲名をただ「ヴィヴァルディのアレグロ」としか紹介してくれず、その後10年近くもオリジナルのレコードを苦労して捜した思い出があります。
(余談その2)ヴィヴァルディは、自らが指導していたヴェネチアの孤児院のアンサンプルの為に、数多くの作品を書いた事はよく知られています。でも彼は、上手な生徒の為にはコンチェルトを、そうでない生徒の為には弦楽の協奏曲を書いたのだ、という事はあまり知られていないようです。
(パストラーレの人たちにはナイショにしておこうっと1)

 アレグロ 〜 ラルゴ 〜 アレグロ

                       (第13回定期演奏会プログラムより)



 ヴィヴァルディ/フルート協奏曲ヘ長調 Op.10の1「海の嵐」
         フルート協奏曲ニ長調 Op.10の2「ごしきひわ」


 イタリア・バロックを代表する作曲家ヴィヴァルディ (1678〜1741) は、さまざまな楽器のために実におびただしい数の協奏曲を作曲しました。 ( ただ、コントラバスのための協奏曲だけは書かなかったというのは、残念というか、賢明だったと言うべきか・・・? )
 フルートのための協奏曲も、concertoと題された室内楽風作品までも含めると、33曲が現在残されていますが、作品10 としてまとめられた6曲が今日では最もポピュラーで、また史上初のフルート協奏曲集として、歴史的にも大きな意義をもっています。 しかしこの曲集の誕生には、下記のような事情があったようです。 
 1729年頃、商売上手のアムステルダムの楽譜出版屋ル・セーヌは、当時の人気作曲家・ヴィヴァルディを訪れ、こうもちかけました。
 
 「先生 ! 今巷では、横笛ってのが結構人気出てきてるみたいですよ」
 「そうだってね。 私も3年ほど前にヴェネチアで、クヴァンツ君という
  横笛の名手に会って、なかなかいける楽器じゃん ! と思ってたんだ」
 「じゃあ話は早いや。 先生、この楽器のための協奏曲をぜひ書いてくだ
  さいよ。 なるべく早い機会に出版したいので、そこんとこよろしく! 」 
 「急にそう言われてもなぁ・・・1〜2曲でいいのかい ? 」
 「いゃー、やっぱり協奏曲集は6曲か12曲と、コレルリ先生の頃から決
  まってるじゃないですか」
 「ギクッ・・・」
 
 ル・セーヌからの急な依頼に当惑しつつも、きっと作曲料などの条件が良かったのでしょう。 ヴィヴァルディは大慌てで、なんと弟子の力まで借りて、主に旧作の編曲を中心に (ズルイ! ) 、6曲の横笛のための協奏曲集を、短期間のうちにまとめ上げたのです。 ( こんなわけで、この曲集のために新たに書き下ろされたのは、たった1曲だけだったとも伝えられています )

 今宵演奏される2曲は、それぞれ親しみやすい表題がついており、また2曲ともフルートという楽器の軽やかな特性を活かしつつも、描写音楽にとどまることなく純器楽作品として高い完成度を得ているのは、前記のいきさつなどを考えた場合、まさに驚異と言えましょう。

 「海の嵐」/ 第1楽章「アレグロ」〜 第2楽章「ラルゴ」
       〜 第3楽章「プレスト」 
 「ごしきひわ」/ 第1楽章「アレグロ」〜 第2楽章「カンタービレ」
        〜 第3楽章「アレグロ」
                  
                      (第17回定期演奏会プログラムより) 



 ヴィヴァルディ/バスーン協奏曲ホ短調 R. 484


 「バスーンって、どんな楽器?」「ほら、ほら、あれだよ。 あの長一いの」「ああ、あのオーケストラのど真ン中よりちょっと右よりで、エントツみたいなかっこうをした・・・」「たしかあれは、ファゴットっていう名前ではなかったっけ?」「どっちでもいいんだって。 どっちかが英語で、どっちかが・・・たしかドイツ語だったっけな」「音はどんな音だったかなあ」「うん、まるで○○○みたいな、体がむずむずしてくるような・・・」「そう、そう、ストラヴィンスキーの“春の察典”のアタマの、あの快惚とした美しいソロ、あれ、バスーンなんだよ」「でもさ、本当のバスーンの音域は、“ピーターと狼”のおじいさん位なんでしょ」「そんな楽器に、コンチェルトなんてあるの?」「何言ってんだ、君、知らないの一。あの有名なモーツァルトのケッヒェル191、あの第2楽章、泣けるなあ」「ウェーバーにもたしかコンチェルト、あったね」「あと・・・あと誰の曲があったっけ?」「ずいぶん前に、たしかジョリベだったかの曲を名フィルの中西さんできいた覚えがあるよ。 もっとも、なんかよくわかんない曲だったけど」「他には・・・う〜ん」
「君たち、知らないの!バロックの時代に、あの“四季”のヴィヴァルディが、なんと37曲もバスーン協奏曲書いてるの ! 」
 ヴィヴァルディ (1678−1741)は当時、ほとんど通奏低音としての役目しか与えられていなかったバスーンの為に、数多くの協奏曲を残しました。 ところが、この37曲はすべて50年ほど前にイタリアのトリノ市の国立図書館で発見されたもので、以来この楽器の奏者たちにとって重要な独奏レパートり一になっています。 今育演奏されるホ短調は中でも最もポピュラーな曲で、全曲をつつむほのかな哀愁が、なんともいえぬ味わいをかもしだしています。 全曲を通してのクロマティックなバスーンの技術、そして第2楽章の美しい主題など、いちど耳にしたら忘れがたい魅力に満ちている名曲です。

 アレグロ・ポーコ 〜 アンダンテ 〜 アレグロ
                    
                          (第9回定期演奏会プログラムより)



 
 ヴィヴァルディ/4つのヴァイオリンの為の協奏曲ニ長調 作品3の1


 ヴィヴァルディ(1678〜1741)が1712年に作曲し、アムステルダムで刊行された12曲の協奏曲集「調和の幻想(レストロ・アルモニコ)」作品3は、4つのヴァイオリンの為のもの、2つのヴァイオリンの為のもの、独奏ヴァイオリンの為のものがそれぞれ4曲づつ入っており、今宵の作品3の1はコレルリ以来の合奏協奏曲の形をとって、4人のソリスト群と合奏とが、かけあいながら曲を進行する形をとっています。 
 冒頭のヴァイオリン・ソロからもう、あの澄み切ったイタリアの青い空(筆者は実際に見た事はないけれど・・・)を彷彿とさせる、明るいヴィヴァルディの世界です。 ヴィヴァルディの音楽について、「和声や対位法が貧弱でワン・パターンだ !! 」と文句をいう、ストラヴィンスキーのようなおじさんも過去にはいましたが、そんなむずかしい話は放っておいて、我々はヴィヴァルディの、特に弦楽器に対するするどい直感・・・ソノリティの魅力 〜 を、ただただストレートに楽しめば良いのです。
 曲は「早い 〜 ゆっくり 〜 早い」の3楽章から成っています。
                  
                         (第4回定期演奏会プログラムより)



 ヴィヴァルディ/ヴァイオリン協奏曲イ短調 作品3−6

 ヴィヴァルディ (1678−1741)という作曲家の名は、今でこそ協奏曲集「四季」によって広く知られていますが、戦前はこの「イ短調のヴァイオリン協奏曲」によって、彼の名はかろうじて知られていたに過ぎませんでした。 バロック音楽が広く世界的に復権したのは戦後のことですから、なぜそれ以前にこの曲が知られていたか、ということを考えてみると、その原因のひとつに、この曲はヴァイオリン学習者ならば、初期に必ず練習する曲である、ということがあげられると思います。 技巧的には、サード・ポジション位迄の音域で演奏することができます。(きっと若林さんも、お母さんのおなかの中で、ヴァイオリンの先生のお父さんの奏くこの「ヴィヴァルディのアーモル」を耳にされていたことでしょうね) 曲はヴィヴァルディ特有のリトルネロ形式の典型をしめし、短調の哀愁にみちたフレーズがちりばめられるなど内容的にも充実しており、不朽の名曲と呼ぶにふさわしい作品です。

                         (第4回定期演奏会プログラムより)


 
 ヴィヴァルディ/合奏協奏曲へ長調 作品3−7

 ヴィヴァルディ(1678〜1741)の合奏協奏曲集作品3の12曲は、弦楽合奏を志す者にとつては絶対欠かすことの出来ない不朽の名曲・・・とは、何回もこのパストラーレの曲目解説で書いたマンネリ気味の文章ですが、そう、その位ひんぱんに演奏されているわけですね。 バッハやヘンデルのような荘重さにはやや欠けるものの、あのイタリアのすみきつた青い空(また見たこともないのに、こんなことを書いてしまった ! )を彷佛とさせる「あっけらかん」とした明るさが、何といってもヴィヴァルディの音楽の魅カなのです。
 作品3の12曲の中では、ヴァイオリン学習者なら誰でも一度はひく第6番や、2つのヴァイオリンの為の第8番、それに後期の10番・11番などがとくに有名ですが、この第7番へ長調は、ややポピュラリティに欠け、いわぱ日陰の身といった感じの曲ですが、だからといって決して魅カのない日陰風の曲ではありません。前に述べたようなヴィヴァルディの音楽の魅カを十二分に備えています。 この機会にどうかお楽しみ下さい。
 曲は、4つのヴァイオリンとチェロをソロとしたコレルリ風の合奏協奏曲の形をとっており3楽章から成っていますが、それぞれの曲の間に推移部分があり、全体を5楽章と考えることも出来ます。
 アンダンテ 〜 アダージョ 〜 アレグロ 〜 アダージョ 〜 アレグロ

                         (第6回定期演奏会プログラムより)


 弦楽合奏を志す者にとって、ヘンデルの作品6、コレルリの作品6、そしてヴィヴァルディの作品3の各12曲は、レパートリーとして絶対に欠かす事の出来ない珠玉の名曲です。(すっかりおなじみの、使い古された解説パターンそす。)
ヴィヴァルディの作品3「調和の幻想」の12曲の内容は、4つのブァイオリンの為の協奏曲4曲、2つのヴァイオリンの為の協奏曲4曲、独奏ヴァイオリンの為の協奏曲4曲から成っており、この第7番は4つのヴァイオリンの独奏に、チェロがソロとして加わって活躍します。 曲は全体的にヴィヴァルディ特有の、あのあっけらかんとした、まるでイタリアの澄み切った青い空のような(残念ながら筆者は、未だに実際に見た事は無いのだけれど)快活さが余り見られず、第1楽章の冒頭からして、まるでコレルリの作品ではないか?と思わせるような優雅さです。(そういえばこの部分はコレルリの作品5の中の、ヘ長調のガボットにそっくりだなあ・・・) 第2楽章でヴィヴァルディらしい快活さを少し見せますが、その後は終始落ち着いて、優雅な雰囲気で曲を終わります。 明るく爽やかな曲が多い「調和の幻想」の中ではどうしても地味に見られてしまうのか、この曲はいまひとつ人気がありません。 でもきっとパストラーレの年輪が、曲の本当の魅力を掘りおこしてくれる事でしょう。

 アンダンテ 〜 アダージョ 〜 アレグロ 〜 アダージョ 〜 アレグロ

                        (第13回定期演奏会プログラムより)


 
 
ヴィヴァルディ/4つのヴァイオリンのための協奏曲ロ短調 作品3の10

 ヴィヴァルディの合奏協奏曲「調和の幻想」作品3の12曲は、弦楽合奏に取り組む人たちにとって、今や欠かせない貴重なレパートリーです。 しかしヴィヴァルディの音楽のもつ、あの軽やかな美しさを生き生きと演奏するのは、実は非常にむずかしいのです。 わがパストラーレ合奏団においても、この曲が決まった時、ソロヴァイオリンの4人は、もし本番当日失敗をしたら、合奏団をクビになるという、先生の厳しい申しわたしをうけて、舞台に上がりました。
 さて、その成果や如何 ?
                          (第1回定期演奏会プログラムより)



 ヴィヴァルディ/マンドリン協奏曲ハ長調 RV.425

 「四李」で日本でもおなじみのイタリア・バロックを代表する作曲家、A.ヴィヴァルディ(1678−1741)は、生涯に450曲をこえる協奏曲を残しました。
うち300曲近くがヴァイオりン協奏曲なのですが、このマンドリン協奏曲のような撥弦楽器(マンドりン・リュート・テオルボ等)の為にも、6曲の協奏曲を残しています。
イタリアにおいては、一般にマンドリンはナポリのカンツォーネと結びつけて考えられ、クラシックのオ一ケストラと共演する機会は、極めて少ないようです。 協奏曲も、このヴィヴァルディのものが史上初で、後世にもフンメルのものなど限られた数しかありません。 しかし、モーツァルトの歌劇「ドン・ジョバンニ」の中で、有名なセレナードにこの楽器が便われたのをはじめとして、近代〜現代にかけても、マーラー、レスピーキといった作曲家がこの楽器をオーケストラの中にとり入れており、その美しい音色は日本でもギター・マンドリングラプの隆盛にみられるように、多くの人々に愛されています。 
 このヴィヴァルディのマンドリン協奏曲は近年映画「クレイマー・クレイマー」の中で使われ、画面と見事な調和をみせていたのは、私達の記憶に新しいところです。
曲は「アレグロ 〜 ラルゴ 〜 アレグロ」の、ヴィヴアルディの典型的なリトルネッロ形式をとっています。

                        (第5回定期演奏会プログラムより)




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