泌尿器科情報局 N Pro

症例034-3

症例提示2

半年前に膝の手術を受け、その後寝たきりとなってしまった患者さんが、大量の残尿を指摘されて受診しています。

経過
腎障害、感染で問題が発生していないため、現状で許容するべきとする泌尿器科の意向に反し、残尿量400ml以上ある場合は導尿管理開始という当院の申し合わせに従い、看護師判断で導尿管理が開始となりました。おおむね1回導尿量400ml前後で管理が行われ、時々尿失禁が見られる状態で推移しました。

入院1ヶ月後に、急性期病棟から療養型病床へ移動となりました。移動の際の申し送りがうまく行われなかったためか、療養型病床への移動後は導尿に関する事は一切忘れられてしまいました。尿失禁がありオムツ管理となっていました。移動後1週間の時点で1回だけブラッダースキャンで膀胱容量が測定されており280mlという結果でした。当院の申し合わせでは残尿100ml以上では要経過観察、泌尿器科依頼となっていますが、そのまま観察も行われない状態となってしまいました。

療養型病床移動後2ヶ月の時点で、肉眼的血尿が出現したため、泌尿器科に再度依頼がありました。ウラピジルは継続投与されていました。

尿培養 enterococcus faecalis

膀胱エコー

膀胱内は170mlの尿貯留があります。また沈殿物が描出されます。

体位変換での膀胱エコー

体位を左右側臥位に変えることで、膀胱内の沈殿物は移動し、腫瘍では無い事が確認できます。血腫にしてはエコー輝度が高めで、CTで映っていた沈殿物が現在も残っているということです。

ADL 軽介助で車いす移乗可能

認知機能 一般的な会話は問題なく可能

どう対応していきましょう。