短歌と俳句または詩

早春   秋    


 

01/10/14 雪に眠る

 

遠くに

薄墨で描いたような

山並があり

下には

錦の紅葉に縁取られた

山里があり

空は何処までも高く

汚れを知らぬ

この美しい尾根に

友らがひとつずつ石を積み

ケルンを作りました

 

あなたは雪の中で

何を考えていたのですか

何を思い出したのですか

何を夢に見たのですか

 

 

01/10/13 友

何の肩書きも要らず

ただそこに

懐かしい

笑顔がある

昔の馬鹿話

調子はずれの歌

おいしいお酒

何も変わっていないよ

私も

あなたも

相変わらずの

山の友

 

01/10/18  コスモス

 

コスモスが咲いているのは

知っていました

好きな花です

でも

遠い昔の

切れ切れの

想い出があるから

知らない振りして

通りすぎてしまいます

その可憐な花を手にした時

一つの物語を

はらりはらりと

思い出してしまうから

私はコスモスを

知らない振りして

通りすぎてしまいます