高田三郎「2つの狂詩曲」(1945/6)、安部幸明「チェロ協奏曲」(1938) 名古屋で演奏!!
セントラル愛知交響楽団 特別演奏会 
 〜高田三郎 生誕百年記念 高田三郎とゆかりの作曲家たち〜


 2013年6月29日 (土) 三井住友海上しらかわホール (名古屋・伏見) 

 信時 潔 「絃楽四部合奏」 (1920/ 弦楽合奏版・初演)
 高田三郎 2つの狂詩曲「木曽節」「追分」 (1945/6)
 新実徳英 森は踊る (2003)
 安部幸明   チェロ協奏曲 ニ短調 作品4 (1938)

 指揮 齋藤一郎  管弦楽/セントラル愛知交響楽団  チェロ 石川祐支 (札幌交響楽団・首席奏者)

 合唱組曲「水のいのち」で著名な作曲家・高田三郎の生誕100年を記念する演奏会が、高田の故郷愛知県名古屋市で開催された。
2年前東京で実に65年ぶりに再演された「2つの狂詩曲」が、高田の故郷・名古屋で初めて演奏される。(プロ・オーケストラ初演)
 本コンサートは「高田三郎とゆかりの作曲家たち」というタイトル通り、高田に縁のある3名の作曲家の作品も同時にプログラミングされた。
まず、高田が東京音楽学校で学んだ師・信時潔がベルリン留学時代に作曲した「絃楽四部合奏」は、要注目。
信時というと「海ゆかば」やカンタータ「海道東征」に代表される質実剛健なイメージが先行しがちだが、この「絃楽四部合奏」は今世紀初頭のヨーロッパ音楽の様々なエッセンスが満ちており、若き信時の初々しい情感やパッションは、まさに「驚き」である。
 高田が所属していた作曲グループ「地人会」仲間で、2才年上の安部幸明が1938年に作曲し、ワインガルトナー賞第1位を受賞したチェロ協奏曲 ニ短調 作品4は、何と実に71年ぶりの再演となる。東京音楽学校でチェロを専攻した若き安部の、才気とウィットに溢れる傑作だ。ソリストの石川祐支氏 (札幌交響楽団・首席) は端正ななかにも熱いパッションがこもった演奏を繰り広げてくれた。
 信時、高田、安部各氏の諸作品は、間違いなく日本の洋楽史の足取りを如実に感ずる事ができる秀作。
「このような作品たちを忘却の彼方に追いやって来た日本の音楽界とは、一体何だったのだろう?」
ということまで、来聴されたお客様には、きっと感じていただけたのではないか。
なお本演奏会のライブ録音は、CD化されるという情報もある。