認知行動療法
認知療法・認知行動療法とは、人間の気分や行動が認知のあり方(ものの考え方や受け取り方)の影響を受けることから認知の偏りを修正し、問題解決を手助けすることによって精神疾患を治療することを目的として構造化された精神療法です。
精神科の治療方法としての認知療法・認知行動療法は、1970年代に米国のAaron T Beckがうつ病に対する精神療法として開発したものです。
その後、認知療法・認知行動療法は、うつ病はもちろんのこと、不安障害やストレス関連障害、パーソナリティ障害、摂食障害(神経性大食症)、統合失調症などの精神疾患に対する治療効果と再発予防効果を裏づける優秀なエビデンスが多く報告されてきたことから、欧米を中心に世界的に広く使用されるようになりました。
また、精神疾患以外でも、日常のストレス対処、夫婦問題、司法や教育場面の問題、などその適用範囲は広がりを見せています。
わが国では、とくに1980年代後半から注目されるようになってきました。
それとともに、わが国での治療効果の検証も進み、厚生労働科学研究費補助金(こころの健康科学研究事業)「精神療法の実施方法と有効性に関する研究」を初めとした研究でその効果のエビデンスが積み重ねられてきています。
こちらのサイトでは認知行動療法について大変分かりやすくかつ実に細かく解説されていますので参考になさってください。(画像をクリックすると別窓で開きます。)
ただ、認知行動療法をきちんと行えるセラピストまたはカウンセラーはまだ少数なのが現状のようです。千葉大学大学院医学研究院では、2010年4月より、「千葉県で認知行動療法をもっと身近に」するために、認知行動療法のセラピストの養成を開始すると同時に、千葉大学精神科認知行動療法外来での治療が始まりました。 ただし、紹介制となっておりますので、まずはかかりつけの病院でご相談下さい。
それから、2010年3月には認知行動療法について保険の適用が決定され、4月から一部の病院で適用が始まりました。ただし、医療機関に限られるかと思われますので病院またはクリニックにて一度ご確認下さい。
認知行動療法を始めるタイミングですが、薬物療法で、ある程度発作や予期不安などが軽減されてから行うことが望ましいと思われます。焦るとかえって病気を悪化させる可能性もありますので、かかりつけの医師とよく相談の上、行うことをオススメします。
またご自分だけで行う場合、期待するほどの効果が得られない場合もあります。周りのサポート体制が整った環境下で焦らずゆっくり行うようにしましょう。